在宅血液透析(HHD)
はじめに
腎不全と診断され、透析治療を余儀なくされたとき、途方にくれたことは誰しも経験されたことでしょう。しかし、自分の置かれている立場・環境・経済状況・将来などを充分に考えて、自分に合った治療形態を一日でも早く選ぶことはあなたの透析ライフに大きな意味をもたらすことと思います。
在宅血液透析とは?
医療施設の管理のもとに、血液透析を自分のライフスタイルに合わせて、患者様・介助者が家庭で透析を行う治療です。安心して在宅血液透析が行えるように患者様と介助者はしっかりとした知識・技術の習得が必要です。自分に合った透析治療と自己管理を知ることによって、より良い透析ライフを得ることができます。
特徴
在宅血液透析も長所・短所があります。充分理解、納得した上で選びましょう。
[長所]
- ・時間的制約が少ないため個人に合わせた透析設計を立てられます。(仕事のスケジュール、家庭生活のスケジュールに合わせて、透析スケジュールを立てることができます)
- ・透析中、家族と接する時間が取れます。
- ・施設透析と比べ、透析時間が十分確保できます。(長時間透析、隔日透析ができます)
- ・合併症の発生頻度も低く、良好な体調が維持できます。
[短所]
- ・介助者とともに一定の教育期間が必要です。
- ・介助者は、透析中家にいる必要があります。
- ・透析中のトラブル時、医療者が側にいないため、本人と介助者が対処する必要があります。
安全性
「安全性」については、在宅血液透析に興味のある方にとって最も関心のあることでしょう。
新生会では長年にわたり教育訓練内容と支援体制について検討・改良を重ねてきました。
在宅透析教育センターでは自己穿刺、透析開始・終了操作、その他装置の安全操作、透析中のチェックおよび予想しうるトラブルについて、きめ細かな計画のもとに教育が行なわれます。習得した操作手順を確実に守って透析を行っていればたとえ、病院から離れていても十分安全に透析ができます。当院では24時間オンコール体制をとっています。医師・臨床工学技士・看護師他の連携によって安全に安心して日常生活が行なわれています。これまで当院管理の在宅血液透析患者から訪問要請があったのは全電話件数のわずか0.2%と大変低いもので、その内容も装置の故障などで重大な事故はありませんでした。
適応
在宅血液透析を安全に継続していただくために、当院では対象となる方の基準を設けています。
1.透析者本人が希望し、介助者の同意があること。
2.在宅血液透析に影響するような合併症がないこと。
3.自己管理ができること。
4.透析装置、水処理装置の設置場所、材料の保管場所があること。
5.医師が、在宅血液透析が可能であることを承認している。
6.社会復帰を目指すならば、さらに良い適応となるが、自分の生活設計上、在宅血液透析を有用と考える透析者も適応である。
また、在宅血液透析をするためには、介助者がいること、自己穿刺をすること、月1回定期受診をすることが不可欠です。
上記のことが当てはまっていれば、本人・家族の意思でを選択することができます。
当院、在宅血液透析のあゆみ
当院では1972年に在宅血液透析を行っており完全社会復帰を目的として専任スタッフを置き、透析装置の貸出しシステム・材料供給システム・管理システムを推進しています。その経験から在宅血液透析は非常にすぐれた要素を持っており、きわめて望ましい治療形態であることが実証されています。また、現在までの38年間患者の生命に危険を及ぼすような事故を発生させることなく管理しています。