透析支援システム|電子カルテ

臨床工学部にて独自開発した透 析 部 門 シ ス テ ム と オーダリングシステムの 連 携

臨床工学部にて独自開発した透 析 部 門 シ ス テ ム と オーダリングシステムの 連 携

【目的】

近年、IT技術の発展は著しいが医療業界でもその傾向は顕著である。しかし、電子カルテやオーダリング等は 一 度 に多くの患 者 を 治 療 す る 透 析 医 療 と は あ ま り 親 和 性 が高くないと言われている 。当院では臨床工学部で開発した独自の透析支援システム(以下透析支援が稼働しているが、2014年1月よりオーダリングシステムを中心としてNEC社製MIRAIS(以下MIRAIS)を導入した。今回、MIRAISと透析支援と連携を行ったので報告する。

(図1) 

【方法】
透析支援のデータベースにはMS社SQLSever2008R2を使用し、クライアントにはMS社製Access2010を使用した。MIRAISとのデータベース接続にはODBCを使用し、透析実績の送付連携にはMIRAIS側の透析連携DLLを使用し、MIRAISへ取り込まれた透析オーダをそのままレセコンヘ送付医事算定データの一部 と し た 。


データの参照、結果の書込みを実現し医師(代行を含む)は基本的には MIRAIs側でオーダを出すが、結果は双方から確認できる。主に連携するデータは患者属性、実施クール、処方(定期、臨時)注射、検査、画像で、透析中に使用する注射は透析支援より入力しラベルと注射指示箋を出力(図2)、血液浄化記録は個人を識別するためバーコードに各種情報を表示しスキャナにて取り込み、 MIRAISの統合レポートに格納し MIRAISおよび透析支援側の端末でも血液浄化記録を確認でき、透析室、臨床工学部、医事課にて情報共有がはかれた。
(図3)

タスクマネ-ジャを用いた自動取り込み

システム導入以前、検査データは名古屋記念病院の検査部より定期的に送付された CSVを手動で取り込んでいた。手間も多くタイムラグも生じていた。今回 MIRAISのデータべ-スより定期採血データ、外部採血データ、定期処方、臨時処方は定期的に透析支援システムへ取り込みリアルタイムに近い状態で表示することが可能となった。(図 4)

透析患者のグループ化

透析医療は月水金、火木土などフロア単位で治療を行う。今回導入した MIRAISにはコミュニケーションフォルダという患者をグループ化する機能がある。そこで透析のフロア単位での実施情報を透析支援より送付できるよう設定し、クールごとに患者氏名を表示させ選択を容易にした。またこの情報を利用し検査、心電図、胸部X線撮影などの一括オーダが行える。(図5)

透析支援システムからMIRAISへ透析実績情報の伝達

実績データは汎用オーダとして①透析時間②ダイアライザ③障害者加算④透析液清浄化加算⑤抗凝固剤⑥リクセル⑦貼付局所麻酔⑧休日加算透析中の薬剤(エポジン フェジン等)⑨透析時使用薬剤、を作製し入院透析の場合、病棟 透析室 併用の薬剤透析実績データを透析終了時に作成しMIRAIS側の透析DLLを利用し、透析変更、入院、退院情報を反映しレセ算定情報の一部とした。(図6)

【結 果】

既存の臨床工学部にて開発した透析支援システムを利用し現場に即したシステムとMIRAISの連携が実現し追加開発も発生しないためコストも抑制された。透析実績をレセデータとして利用することで病院全体での業務効率が図れた。
 

 
【考察・結語】

同一患者への週3回・月一回などの定期繰り返しオーダが必要な透析医療においてオーダリングや電子カルテは透析現場には不向きとされてきたが、今回効率的・効果的な要件を熟知した、臨床工学技士が開発することでMIRAISにカスタマイズを掛けることなく連携でき、透析業務とオーダリングの機能を検討することでコスト減、効率化を図ることができた。今後、各サテライトで横展開を実現し、新生会を中心に情報共有し透析患者データベースを作成し診療情報や研究等でも活用できるシステムへ向上させたい。

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