透析業務説明|Explanation of dialysis work

全自動透析装置について

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全自動透析装置について

2017-05-28

GC-110N(JMS社製)

当グループは血液透析業務を自動化する”全自動透析装置”を順次導入しています。透析治療は開始時と終了時に業務が集中しているため、本装置を導入することでスタッフの負担を軽減し、結果的に患者様に向き合う時間を増やすことができ、安心した治療を提供できます。
 また操作の簡素化により、装置への接触回数が大幅に減ることで感染予防と医療事故発生リスクの低減に繋がります。以下、実際の透析操作について簡単に御紹介します。

【血液回路の準備】


透析開始前までに血液回路を液で満たします。この作業は”プライミング”と呼ばれ、従来の生理食塩水に代わり清浄化が担保された透析液を用います。ダイアライザー膜を介して血液回路側に濾過する(逆濾過)ことでプライミングを行うと同時に、ダイアライザー膜からの溶出物を洗浄する効果が期待できます。プライミングは4工程に分かれて順に実施されます。

1.静脈側工程

 除水ポンプを逆回転(400mL/min)させてダイアライザと静脈チャンバー間をオーバーフローラインから排出しながら洗浄します。

2.動脈側工程

除水ポンプを逆回転させたまま、濾過速度の90%(360mL/min)で血液ポンプを逆回転させ、動脈側回路と動静脈接続部から静脈チャンバーまでをオーバーフローラインから排出しながら洗浄します。また工程終了1分前にクランプ②を開閉させてフラッシング動作を行うことにより、静脈チャンバーメッシュ部の気泡を除去します。

3.両側工程

血液ポンプ速度を70%まで落とし(280mL/min)、引き続きオーバーフローラインから排出しながら動静脈回路を同時に洗浄します。工程移行15秒後に再度クランプ②を開閉させ、動脈側工程同様に気泡を除去します。

4.循環工程

除水ポンプを停止してプライミング完了となります。その後、細菌繁殖を防止する目的で血液ポンプを正回転(400mL/min)、血液回路内を循環させて透析開始まで待機となります。

【透析開始】

、複数の手技を必要とした操作が、装置のボタン操作1つに簡素化され、脱血から透析開始まで自動的に移行するとともに、予め設定された血流量まで上昇します。

【透析中】

 血圧低下が見られた場合には、逆濾過させた透析液を迅速に補液することが可能です。
また任意付属品であるクリットラインモニターにより除水に伴う循環血漿量の減少を相対的に把握することが可能であり、これに起因した血圧低下を事前に予測することで安全な治療を提供します。

【透析終了】

 透析開始時と同様に、ボタン操作1つで動静脈を同時に返血します。返血完了後にも補液を追加で実施することができます。

【透析液清浄化への対応】


透析液をダイアライザー膜から逆濾過して使用するため、様々な清浄化対策が施されています。

・バイオクリーンカプラ

 透析装置とダイアライザーを接続する部品を”カプラー”と呼びます。本装置ではシリコン一体成型とすることで細菌繁殖の温床となりやすい”Oリング”を無くし、透析液の停滞を防止しています。

・エンドトキシン除去フィルター

列に配置された2本のエンドトキシン除去フィルターに透析液を通すことで、清浄度を更に高めます。

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